1. はじめに
為替や株などの相場では、価格は常に同じ方向に動くわけではありません。
大きく上昇している時期もあれば、下落し続ける時期、そして上にも下にも行かず横ばいになる時期もあります。
このような値動きの方向性や特徴を**「トレンド」**と呼びます。
トレンドを見極めることは、エントリータイミングや戦略の選択に直結します。
この記事では、トレンドの基本的な種類(上昇・下降・レンジ)と、その判別方法を中学生でも理解できるように解説します。
2. トレンドとは?
トレンドとは、一定期間における価格の方向性のことです。
相場は常に上下動を繰り返しますが、その中で全体的にどちらに向かっているかを判断します。
主な種類は以下の3つです。
- 上昇トレンド(アップトレンド)
- 下降トレンド(ダウントレンド)
- レンジ相場(横ばい)
【図解】3種類のトレンドの基本形
※上昇・下降・レンジを色分けした折れ線グラフで描く
3. 上昇トレンド
上昇トレンドは、価格が時間の経過とともに高くなっていく状態です。
特徴は「高値」と「安値」がそれぞれ前回よりも高くなることです。
例:
- 高値1:150円 → 高値2:152円 → 高値3:154円
- 安値1:148円 → 安値2:150円 → 安値3:152円
このように、階段を登るように価格が上がっていく形が上昇トレンドです。
判別ポイント
- 直近の高値が前回高値より高い
- 直近の安値が前回安値より高い
- 移動平均線が右肩上がり
【図解】上昇トレンドの高値・安値の動き
※価格が階段状に上昇する様子を矢印で示す
4. 下降トレンド
下降トレンドは、価格が時間とともに低くなっていく状態です。
特徴は「高値」と「安値」がそれぞれ前回よりも低くなることです。
例:
- 高値1:150円 → 高値2:148円 → 高値3:146円
- 安値1:148円 → 安値2:146円 → 安値3:144円
階段を下るように価格が下がっていく形が下降トレンドです。
判別ポイント
- 直近の高値が前回高値より低い
- 直近の安値が前回安値より低い
- 移動平均線が右肩下がり
【図解】下降トレンドの高値・安値の動き
※価格が階段状に下降する様子を矢印で示す
5. レンジ相場(横ばい)
レンジ相場は、価格が一定の範囲で上下している状態です。
上にも下にも大きく動かず、「高値」と「安値」がほぼ同じ価格帯で推移します。
判別ポイント
- 高値と安値の差(値幅)が狭い
- 移動平均線が横向き
- 明確なトレンドラインが引けない
【図解】レンジ相場の価格動き
※横ばいのチャートを長方形で囲み、価格の上下幅を示す
6. トレンドの判別法
6-1. 高値・安値の更新を見る
最も基本的な方法は、「高値と安値の位置関係」を確認することです。
上昇トレンド → 高値更新&安値更新(共に上方向)
下降トレンド → 高値更新&安値更新(共に下方向)
6-2. 移動平均線を利用する
移動平均線は一定期間の価格の平均値をつなげた線で、トレンド方向を把握するのに便利です。
- 右上がり → 上昇トレンド
- 右下がり → 下降トレンド
- 横ばい → レンジ相場
【図解】移動平均線によるトレンド判別
※ローソク足に移動平均線を重ね、傾きで方向を示す
6-3. トレンドラインを引く
上昇トレンドでは安値同士、下降トレンドでは高値同士を結んで線を引きます。
トレンドラインが機能している間は、同じ方向に動きやすくなります。
7. トレンド転換のサイン
トレンドは永遠に続くわけではなく、必ず転換します。
転換を見極めるポイントは以下の通りです。
- 上昇トレンドで安値を下回る動きが出た
- 下降トレンドで高値を上回る動きが出た
- 移動平均線が横ばいまたは逆方向に傾き始めた
- トレンドラインを明確にブレイクした
【図解】トレンド転換の例
※上昇トレンドから下降トレンドに切り替わるチャート例を矢印で示す
8. 初心者が陥りやすい誤判定
- 短期足だけを見てトレンドを決めてしまう
- ニュースの一時的な値動きをトレンドと勘違いする
- 移動平均線やトレンドラインの設定期間が極端に短い
9. トレンド判別の実践ステップ
- 長期足で全体の流れを確認
- 中期足でトレンドの方向を特定
- 短期足でエントリータイミングを計る
この「マルチタイムフレーム分析」を使うことで、精度が向上します。
【図解】マルチタイムフレーム分析の流れ
※日足→1時間足→5分足の順で見ていく手順を図解
10. まとめ
- トレンドは「上昇」「下降」「レンジ」の3種類
- 高値・安値の更新、移動平均線、トレンドラインで判別可能
- 転換のサインを見逃さないことが重要
- 長期・中期・短期の時間足を組み合わせて分析すると精度が高まる
トレンドを正しく見極められれば、エントリーの精度が上がり、勝率も安定します。
日々のチャート観察で、トレンドを見る目を鍛えましょう。
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